~夫失踪事件②切迫早産~
入院は辛いものだった。
ご飯とトイレ以外は常に寝たきりで早産止めの点滴をずっとつけていないといけなかった。
身体もしんどいが、それ以上に精神的に私は参っていた。
夫の気持ちを受け止め解決はしたが、私自身の失踪事件に対するショックな気持ちは誰にも話せず宙ぶらりんなままだった。
理由はどうあれあの時、『私とお腹の子は夫に捨てられたんだ』という事実。
さらにその後の借金発覚とそれを問い詰めることもできない現実。
さらに早産の危険。
「お腹の赤ちゃんは一体どうなるの!?今産まれてしまったら死んでしまうかもしれない!!死ななくても障害が残るかもしれない!!なんでこんなことになったの!?なんで!?」
こんな事態になってしまった自分を責めた。
こんな危険な目に赤ちゃんをあわせてしまうなんて母親失格だと思った。
…もし赤ちゃんに何かあったら私の責任だ!!!!!
10日間の入院を終えたが、退院後も絶対安静の為自宅へは帰らず実家の母に世話になることになった。
夫が度々会いにきてくれた。
でも私の心は沈んだままだった。
まだ出産まで予断を許さないこと。
そして夫が借金を隠していること。
私は毎回夫に尋ねた。
「私に言いたいことはない?もしくは困ってることはない?」
夫はそのたびに笑顔で「なにもないよ」とこたえた。
怖かったが私はまたこっそり夫が借金している消費者金融の会員ページをみた。
返済を少しずつしている履歴と…
さらなる借り入れをした履歴。。
私は絶望した。
しかし夫が私に話す気がなければ話をしたところで何の解決もしないどころか、言い争いになりまたお腹の赤ちゃんを危険にさらしかねない。
言いたいことを言うことも今は出来ない。
今の私は無事に出産すること以外大切なものはないのだ。
ショックでくやしくてもどかしかった。