～スタート地点に立てる？～

私の仮面は取れた。

しっかり蓋をしてしずめていた心の傷も今は開いている。

今回夫との話し合いに備えるべきものは、誘導でもスルースキルでもなかった。

ただ自分の心を観察することのみだった。

もともと私は嘘が付けない性格だ。

虚勢をはっていても、すぐに嘘が苦しくなってしまう。

今までも何度も自分の気持ちを訴えたが駄目だった。

だから今回も自分の気持ちを精一杯伝えてもきっと駄目だろう。

でも仮面が取れた私は馬鹿正直にまた精一杯自分の気持ちを訴えるしかできないのだ。

この方法が駄目だったとしても関係なく、それしかできないのだ。

子供を寝かしつけ、夫とのスカイプに備えた。

スカイプに準備ができたことをメッセージで残したが、返信はこず１時間経った。

「きっと寝ているんだろう。これまでにも何度もそういうことはあった。今日はないな。」

と思っていたら、やっと少ししてスカイプの電話がかかってきた。

若干テンション低くスカイプの電話に出た。

隙間なく働いていた夫は予想通り眠ってしまっていたらしい。

冒頭の会話は夫の「第三者に介入することについて必要ないということを納得するか」ということで、しばし言い合いになった。

夫「第三者の主観など必要ない。二人で話し合えるはず。」

私「当事者同士だと収拾がつかない。もうその段階は終わった。第三者の主観であったとしても必要。」

結局決着がつかないまま話は今後の話し合いの目標についてに流れていく。

夫「目標は大きく持たないと（お互いの愛情復活）達成できない。」

私「（就職でいう面接に焦点を当ててたら受からない。会社に入ってから何がしたいかという大きな目標に焦点をあてないと合格できないみたいなこと）言っていることはわかるが、そういうスポ根みないなことでなくこれは心の話！」

夫とはいつも同じ話題を違う次元で話をしている感じになるのだ。

私はありったけの気持ちをなんとかして言葉にして夫にぶつけた。

私「私は最初の失踪事件で深く心に傷を負った！そこから何度も何度も夫婦仲がうまくいくように挑戦した！でもうまくいかなかった！その繰り返しで私は諦めてしまった！・・そう！諦めた！！失望して絶望した！だから蓋をして仮面をかぶった！でもそれを続けることも出来なくて離婚を選ぶしかないと思った！だから離婚したいって言った！でもその時夫さんが気持ちを受け入れるといってくれたから踏みとどまった！それならもう少しがんばってみようと思った！

だからいきなり愛情の復活を目標になんてできない！夫さんは私の求めている愛情をもっていないかもしれない！だからまずはお互いが傷つかない地雷を踏まないを目標にお互いの理解を深めていって、深めていく過程でもしかしたら愛情の復活につながるかもしれない。その希望が持てるようになる。だから愛情の復活が目標はたしかに「正しい」。けど私はそういう希望が今もてない！だから「お互いが傷つかないこと」が目標だと思う！」

夫は黙って聞いていてくれた。

夫「・・・・そういうことならそれが目標になるのは納得できる。」

うまく伝わるように言えている自信はなかったが一応なにかしら納得してくれたようだった。

夫「じゃあまずは二度と俺が妻ちゃんを傷つける行動をとらないように。妻ちゃんが俺のことをもっと深く理解することが一番だと思う。」

違う。

そうじゃない。

あなたのことは結構よくわかっていると思っている。

今までの行動だってだいたいなんでそういう行動したのか理解している。

理解はできても許せないからこうなってる。

夫は喧嘩するたびによく言っていた

「俺は俺。俺はどうしたって変えられない。だからそんな俺を受け入れるしかない。受け入れられないなら別れるしかない。」

そうだ。

結婚する前、付き合っているときに一度別れるきっかけになった時も私は夫に同じようなことを言われていた。

「おまえはそうするしかないんだ！受け入れろ！」

そうか。

私はずっと夫にどんなに自分の意に反することもでも受け入れないといけない。

そうでないと終わりにする。

「受け入れろ」と強要され続けていたんだ。

夫「失踪したことも、俺はもともとそういう人間。だからそれを受け入れるしかない。妻ちゃんをこれ以上傷つけない為には、俺が失踪する原因を作らないようにするしかない。」

違う。

そうじゃない。

私「夫さんが失踪癖があることはよくわかっているし、だいたいの原因もわかってるつもり。初回の失踪は新卒の時、就職先の会社のブラックな就業規則ともしかしたら人間関係も？で仕事が原因で失踪。そのあとは彼女と別れるたびに失踪。私の前の婚約までした彼女は夫さんの好きな塾講師の仕事が軌道に乗りそうになった時に彼女さんがホームシックになり地元に帰ろうと言ってきてある意味パニックになり別れてこっちに（こっちの地域に）飛んできた。・・・あってる？」

夫「・・・あってる。」

私「結婚後の初めの失踪だって仕事と仕事を辞めたら私が望んでるお金を稼げなくて離婚届を突き付けられると思ったから失踪したんでしょ？」

夫「・・・・それは違う。」

私「え？失踪後帰宅した後にそう言ってたよ？」

夫「・・・妻ちゃんのことは後から冷静になったらそう思ったという感じで。

失踪したことは100％仕事のこと。（いつも通り）仕事の人間関係。失踪する時はいつも自分のことしか頭にない。妻ちゃんのことも子供のことも他は一切考えられない。頭にない。自分が逃げ出したい。その気持ちしかない。これは俺自身の問題でずっと抱えている問題。」

私「そう・・・。

ただ過去を知っていたら夫さんが結婚後も失踪するなんて簡単に予想がつく。誰が見たって予想がつく。

でも私は許せなかった・・・・・

ねぇ・・・

今までの失踪と私と結婚してからの失踪と、

決定的に違う事がある・・・・

決定的に違う環境の条件がある・・・

それは分かる・・・・？」

夫「・・・・・・・・・

・・・・・・・朝、失踪をすることを隠して出かけたこと？」

私「違う！！！！素知らぬ顔して失踪なんて今までたくさんしてきたでしょ！？職場の人達に昨日までは普通に機嫌よく働いて次の日から突然こなくなることばかり繰り返してきたやん！！！！」

夫「・・・・・・」

私「今までの失踪と私と結婚した後の失踪じゃ全然違う！！！！

わからない！！？？？

全く違うよ！！！決定的に違う！！！最低な失踪だよ！！！！」

夫「・・・・・・・・」

私「・・・・っ！！！！

私とお腹の中の長男がいたよ！！！！

あなたの隣に！！！あなたの帰りを待っている私達がいたんだよ！！！」

私は泣いていた。

まるでその当時に戻ったみたいに気持ちが覚醒していた。

私「職場の人はいきなり来なくなっても仕事の替えなんていくらでもいるんだから全く困らないよ！！別れた彼女も別れた後だからどうでもいいよ！！！

でも私は！！！

私達は！！！！

お腹の中にあなたの子供がいるんだよ！！！

あなたの子供が！！！

愛している人がある日突然いなくなったらどんな気持ちになるか！！！！

愛している人の子供がお腹にいるのに！！！！！

私はあの日、あなたが帰ってくるまでずっと泣いてた！！

悲しくて苦しくてずっと泣いてた！！！

帰りをまってる私達がいたのが決定的に違う事で最低なことだよ！！！！！！」

そう言い放った後の夫の反応は覚えていない。

あぁ・・・

でも自分で言っていてわかった。

私は夫に謝ってほしいんだ。。

当時夫の気持ちは受け入れたが、私の気持ちはどこにもいけずにずっと宙ぶらりんのままだった。

夫の気持ちばかりで終わった失踪事件・・・

私の気持ちを思いやってくれる行動も言動も一切なかった。

あの時私の気持ちを思いやって・・・・

気持ちが落ち着いてからでもいい。

「つらい思いをさせて本当にごめんなさい。」と

心から謝ってほしいんだ。。

そして心から自分がした行動を後悔してほしいんだ。

私「私はあの時と同じ思いを夫さんにさせたい！！あの時の苦しみや悲しみを思い知おれって思う！！！！苦しめって思う！！！！！」

心の叫ぶままに言葉をぶつけ続けた。

私「夫さんは前の会議で私が夫さんにする地雷行動や言動を教えてくれたよね！？『仕事をがんばってお金を稼いでも当然という態度で感謝の気持ちを表さない』『私の望みに従って行動（’お金を稼ぐ）しているにもかかわらず、後から望んでいないと意見を翻されること。』『極端な反応。（夫に料理を作らない等）』。

それは全然普通の夫婦ならできる（改善）ことだよね！？全然難しいことでも高望みのことでもない。でもできない！！できない精神状態だから！！！

喧嘩をした時「俺をいつも馬鹿にしたような目でみてくる！」と言ったよね！？私がいつから？と聞き返すと「結婚当初から！」って言ってたよね！！？？

はじめの失踪事件があったのは結婚した一年後のことだよ！！それが結婚当初という認識ならあってるよ！！！だって私はあの失踪事件の後完全に殻に閉じこもったんだから！！！

その後、夫婦関係を修復しようと気持ちが揺らいで行動したりはしていたけど！！！基本的にはずっと殻に閉じこもってた！！！

だから夫さんの感じていることは正しいよ！！！その通りだよ！！！」

自分の気持ちじゃない！！私の気持ちを理解して！！！

私の気持ちを理解してくれないと！！

理解しようと努力してくれないと！！！絶対前には進めない！！

私の気持ちを理解して！！わかろうとして！！

自分のことしか考えられない頭を訓練して！！！」

夫「俺は出来ないよ。俺は俺。変えられない。。」

私「・・・・・・それなら私はまた蓋をして仮面をかぶるしかない。できなくてもそうするしか選択肢はない。」

夫「・・・じゃあ仮面をかぶるしかないんじゃない？俺もかぶるし」

私「・・・・ほんとにそれでいいの？また仮面をかぶって・・・それでいいの・・・？」

夫「・・・・・」

あなたは出来ても、私は無理だよ。

私「自分を諦めないで！！できないじゃない！変えられないじゃない！！いきなりすぐ変われるなんて思ってない！！でも『俺は俺』じゃなくて！！！私の気持ちを理解する努力をして！！！

他人の気持ちを考える努力をして！！！！！

・・・そしたら、夫さんの望んでる幸せな未来に絶対つながるから・・・・・・

お願い・・・

一緒に過去にさかのぼって・・・

あの当時（初めの失踪事件）に戻って一緒にやり直してほしい・・・

ほんとは夫さんに子供のこともたくさん話したいよ。

こんなに可愛く元気に育ってる子供たちのこと・・・・

でも・・・話せないんだよ・・・・！！！！！

・・・・・・・・

私と一緒にやり直してくれるなら・・・・

一緒にやりなおしてくれますか・・・？」

気持ちが高ぶってずっと泣いていた。

夫「・・・わかった。

妻ちゃんの気持ちを理解するように努力する。でも気持ちを理解することに対して可視化できないから実際理解したか示すことができないからどうしたらいいかわからない。」

私「・・・・それは行動や言動に現れると思う。

私は当時のことで夫さんに言ってほしい言葉がある。

気持ちを理解してくれたらその言葉は自然と口から出てくると思う。」

今後の会議は「妻の気持ちを理解する」ことが目標になった。

やっと自分の気持ちに目を向けてもらえることが凄くうれしかった。

まだ何もはじまってないし、これがやっとスタート地点に立てるかも？というところだが、それでもそれだけで心が少しだけ軽くなった。

しかしこれからが本番なのだ。

これでちゃんと気持ちを理解してわかってもらわないと本当に打つ手がなくなってしまう。

次回の会議は２月２５日。

次回までにはじめの失踪事件での私の気持ちを夫に伝わるように詳細にまとめないといけない。

また絶望するかもしれない。

そんな気がとてもする。

アラフォー男の性格を変えるなんて土台無理な話なのだ。

そうだとしても次回の会議までは少し心が軽くなったことを味わおうと思う。